まほろば紀行~つれづれなるままにレトロに生きる

日々の雑感や昭和レトロ、素人の投資ことはじめを語ります

「ほったらかし」ても、お金は育つ?

楽して儲けたいという庶民の下心を見透かしてか、投資関連の雑誌や本には「ほったらかし」などという安易な見出しがあふれている。

もちろんこれは販促狙いのコピーにすぎないが、書店でつい手にとって(いまどきはサブスクでクリックして?)ページをめくっている自分がいる。

みなさんはどうだろうか。

最近読んだ本でも使われている。

『ほったらかし投資術』。

以前出された本を全面改訂したものだが、こちらが元祖?らしい。

帯に「ほったらかし投資の公式本」と銘打っている。

とはいえ、著者の一人、山崎元さんによると、書名はもともと出版社側の意向によるものらしく(YouTubeで語っておられた)、著者自身、ほったらかせばいいとは思っていないことは読んでもらえばわかる。

忙しい人が手間を掛けることなく資産形成できる合理的な方法として、「世界中に分散投資した低コストなインデックス・ファンドを毎月淡々と積み立てる」ことを推奨(もちろん投資は自己責任)しているのである。

ドルコスト平均法は「気休め」?

目から鱗だったのは、多くの人が長期投資のメリットだと説いているドルコスト平均法の説明。

これまで私も正直、そのメリットには半信半疑だったのだが、「金融論的には『気休め』以上のメリットはありません」との言葉に、今さらながら「やっぱりそうか」と感じた次第だ。

「過去の買い方によって現在持っている資産のリスクが減る訳ではありませんし、株式のようなリスク資産の価格変動に、ドルコスト平均法が定期口数投資よりも有利になるような性質がある訳でもありません。この点を正確に理解していない書籍や著者が少なくないのは些か残念です。」

この著者の指摘は、インデックスの積立投資をしている人には常識かもしれないが、わたしのような素人は知らなかった。

まあ知ったところで、結局、淡々と積み立てる―しかないわけですが。

人生で一番払う税金は「消費税」

ところで、投資に関心を持たせようという国の方針もあってか、今年度から高校で資産形成の授業が始まったことで、学生を対象とした「お金」本の出版も相次いでいる。

池上彰さんの『20歳の自分に教えたいお金のきほん』は、まさに「基礎の基礎」の解説なので、まず学生が最初に読むにはちょうどいいかもしれない。

意外だったのは、一生で払う税金の試算。2020年11月28日現在23歳、年収300万円の人が65歳で定年退職し、90歳まで生きた場合のざっくりした税額が書かれているのだが、一生で一番多く払うのは「消費税」だという。

まさに塵も積もれば山となる。

ちなみに2位は住民税、3位は所得税生涯賃金の3分の1は税金と保険料に持っていかれるという。

税金は国民の義務とは言え、ため息が出る。

お金を増やすことが目的化すると、人は不幸になる

学生向き本の話を続けると、「お金と投資の教科書」なら『読んだら一生お金に困らない N/S高投資部の教科書』をお勧めしたい。

あの村上世彰さんが特別顧問を務めるN/S高投資部による本で、実際に村上さんの授業を受けているような感じで「お金と投資の本質」が学べる。

若いときは、まず自分に投資することの重要性もきちんと書いている(当たり前のことだけど)。

そして、お金を増やすことだけに執着すると、お金に振り回される人生を送ることになるとも警告し、こう記している。

「お金は、増やすことが目的化してしまうと、不幸を呼び込みます。

考えてみてください。いくらお金を貯め込んでも、あの世には1円たりとも持っていけないのです。

とはいえ、決して無駄遣いをしろと言っているのではありません。大事なのは、お金が世の中に上手く循環するような使い方をすることです。」

結局、お金は、「世のため人のため」に使えてこそ、ということでしょうか。

幸福感の中で消えていく相場?

『N/S高投資部の教科書』には、いくつか相場の格言が紹介されている。今回気になったのはこれ。

相場は悲観の中に生まれ
懐疑の中に育ち
楽観の中で成熟し
幸福感の中で消えていく

これは「株価が底を打って上昇に転じ、じわじわと値上がりしていく中で徐々に上昇スピードが加速し、皆が儲かる気がしているうちに、いつの間にか天井をつけて下げに転じるという一連の流れ」を表現した格言だという。

そして今まさに、わたしたちは「いつの間にか天井をつけて下げに転じていく」市場を現実に見ているような気がします。

ほったらかしても、お金は育つか?

答えは

未来を待つ―

しかなさそうですね。

 

「あの世に、お金は持っていけませんよ」