インフレの思い出
ある年代以上には強烈に印象に残っている1970年代前半の「狂乱物価」。
オイルショックをきっかけに物資不足が噂され、トイレットペーパーや洗剤の買い占め騒動が起こるほど、市民がパニックになったインフレ時代である。
1973年(昭和48年)当時は、日本列島改造論の田中角栄内閣。2桁インフレが続き、翌年には第二次世界大戦後初のマイナス成長になった。
子供の頃の話なので、よく覚えてはいないのだが、高度経済成長のおわりが明確になり、「省エネ」というエコな政策言葉が出てきた時代である。
当時の社会の雰囲気を味わいたければ、テレビドラマ『雑居時代』(主演:石立鉄男など)なんかを見ればよく分かる。
いまならアマゾンのプライムビデオで無料で全話観られるが、セリフの中に物価高騰の話(「どんどん値上がりしちゃって」等々)が頻発する。大原麗子の美しさに出会えるドラマでもあるので、観たことのない人もぜひ観てほしいところだ。
ところで、何十年ぶりに「インフレ」がやってきた現在。当時ほどではないが物価高騰がしばらく続きそうなのに、賃金が上がる気配もなく、サラリーマンの実質収入ダウンは必至である(ここ数年ずっとそうだが)。
しかも円安で、普通の日本人はどんどん貧乏人になっている。
ちなみに、1973年は『ノストラダムスの大予言』や小松左京の小説『日本沈没』など、終末論的な本がもてはやされた年でもある。
超悲観的な私は、いずれ日本もかつてのドイツのようにハイパーインフレにならないか不安である。
『雑居時代』の主題歌「そよ風のように」生きたいのに―。
そよ風のように 生きていきたいの
触れ合う人に 幸せ運びたいの
幸せ運びたいの