いよいよ来年は還暦。
高齢者と呼ぶにはまだ早いが、もう目前だ。
ではこれは中年期の終りとも言えるのか。
と思って、中年というのはどの当たりの年代を指すのか、手元の辞書で調べてみた。
例えば
最新の広辞苑(第七版)を見ると、「中年」とは
青年と老年との中間の年頃。四十歳前後の頃。
だいぶ古いが1989年11月発行の新明解国語辞典(第四版)を見ると
ヒトを年齢によって分けた区分の一つ。五十代の半ばから六十代の前期にかけての年。
あらら、世相も反映してか具体的な年代には辞書でもばらつきがあるようだ。
まあ「青年と老年の間」ということであれば、幅広い年齢層があてはまるのかもしれないが、中年の最後は還暦あたりが一つの区切りだろう。
さて60代。
歳を重ねれば人間ができてくるかと若い頃は思っていたが、そんなことはない。結局、人はずっとなんらかの不安を抱えながら生きていかざるをえない業を持った存在のようだ。
不安は高齢になるほど高まっていく。
でも、できるだけおだやかに生きていきたい。
まだしばらくは働くが、自分の時間を大事にして、好きな史跡巡りを続けながら、推理小説や時代小説をあらためてゆっくり読んでみたい。
そしてあまり手をつけてこなかったSF小説もいろいろ読んでみたい。
そう思ってこの間、本棚の奥から『幼年期の終り』(アーサー・C・クラーク著)をひっぱり出し、読んでみた。
悪魔や鬼のような姿をした宇宙人、オーバーロードの善導で平和になった地球。しかしオーバーロードもその上のオーバーマインドに使われる下僕のような存在にすぎず、人類はオーバーマインドと一体化する方向へ進化するが、進化しない大半の人類は死に絶え、地球は分解され宇宙から消えてゆく。
うーん、あまりにも奇想天外で、頭の中がいまも?マークのままだが、人間の世界なんて、宇宙から見れば、あまりにも小さいということなのかもしれない。
それにしても、むなしさが先に立つ。
テレビも見なくなった。
唯一楽しみだった旅番組「にっぽん縦断 こころ旅」も火野正平さんが亡くなって、もう見ることもない。
正平さんのことば。
「人生、下り坂最高!」
本当にいい言葉だ。
追悼番組として、春の旅が中止になる前に撮影された「1240日目 熊本県芦北町」の放送を見た。
その中で正平さんは、こう言って画面から去っていった。
「おだやかでいいかげんなんです」
おだやかで、いいかげん。
そうだ60代、それでいこう。
ブログもやめようかと思ったが、一見、意味のないようなことも、少しはなにかの作用を生むかもしれない。
時間は誰にも平等に流れている。
来年はいい年でありますように。