医療費が年間10万円を超えるので毎年、確定申告をしている。
医療費控除は、その年の医療費が一定額(普通は10万円)を超えるときに一部を所得控除できるものだが、確定申告しないといけないので面倒ではある。
でも、ドラッグストアで買った医薬品や通院の交通費なども含まれるし、家族に基礎疾患を持っている人がいれば軽く支出が10万円を超えるだろうから、やらないと損だ。
今年も確定申告の期間が来たので、そろそろ整理して申告しようかと思っていたところ、たまたま医療費控除関連の政府答弁書(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b204048.pdf/$File/b204048.pdf)が出ているのを知った。
答弁書というのは、国会開会中、国会議員から文書で出された質問に対し、内閣が答弁するもの。閣議決定された後、提出されるものらしいので、政府としての見解ということになるのだろう。
●「担税力の減殺」をしんしゃく?
質問は、マスク着用等の新型コロナウイルス感染症対策を国民に呼び掛けている以上、これら「予防」対策にかかる費用も医療費控除の対象にしてはどうかなどを政府に問うたものだ。
答弁書は「医療費控除の対象とならない」とした。
その説明が上から目線のお役所文書で笑えなかった。
医療費控除は「本来は生計費の一部である医療費について、一般的な家計負担の水準を上回って偶発的に支出を余儀なくされる場合の担税力の減殺をしんしゃくする制度として設けられた」のだという。
「担税力の減殺をしんしゃく」なんて言葉。いかにも官僚が考えそうだ。年々重税感を感じるサラリーマンから見ると、実際以上に個々の担税力を勝手に過大評価し、負担を増やされているようにしか思えないのだが。
●マスクは、偶発的に支出を余儀なくされるものではない?
予防にかかる費用については、「自己の判断によりその支出の多寡を決定することが可能であり、一般的な家計負担の水準を上回って偶発的に支出を余儀なくされる性質のものではない」から、控除の対象にならないのだという。
コロナ禍でたいていの家では、マスクやら消毒液やら、いろいろ買いこんでいるはず。それを、本当に偶発的に支出を余儀なくされるものではないと言えるのだろうか。
さらに笑えないのがその後で、政府はいろいろと「医療費の適正化に取り組んでいるところ」だということをわざわざ書き添えている。
政府は増える一方の医療費をなんとか減らそうと努力しているのだから、下々はマスクなどの予防にかかった費用ぐらい払いなさいよと言いたいらしい。
しかし、医療費適正化の例として書かれている特定健康診査や特定保健指導自体、そもそもどれだけのエビデンスがあるのか、国民に教えてほしいぐらいだ。
とはいえ、お上からのお達しだ。聞かずばなるまい(たぶんこんな答弁書誰も見てないだろうが)。
ちなみに私は、これまではずっと妻が税務署に行ってやっていたのだが、ふるさと納税もしっかりやるようになったので、今年は自ら電子申告(e-Tax)してみた。
もちろんお上のお達し通りに申告している。
たぶん。