まほろば紀行~つれづれなるままにレトロに生きる

日々の雑感や昭和レトロ、素人の投資ことはじめを語ります

誰が地球を殺すのか

トランプ大統領による新型コロナワクチン開発の迅速化を図る「ワープ・スピード作戦」で、「ワープ」という言葉を久々に聞いた。トランプの頭には、もちろん光の速さを超えるスピードで宇宙を飛翔する「超光速航法」のことがあったのだろう。

ワープ(Warp)には「歪める」という意味がある。1960年代に人気を博したSFシリーズ『スター・トレック』で空間を歪ませて超光速で航行するというアイデアが用いられたことから、ワープが超光速航法を指すものとして定着したらしい。昭和40年男が思い出すのは、もちろん『宇宙戦艦ヤマト』だ。

もし光速より速く飛べたなら、別の惑星系や銀河へ旅することも可能になるが、超光速航法の実現性は否定され続けているそうだ。残念ながら。

もちろん現実世界では光速移動などいまだ夢の中だが、人類が宇宙に飛び出した1960年代にはいろんなSF作品で描かれた。個人的に思い出すのは 電機メーカー・東芝のマスコットキャラクターとして誕生した「エスパー」を、実写化したSFドラマ『光速エスパー』だ。

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宣弘社ホームページより

コロナ禍の中、DVDであらためて観たが、そういえば子供のころ、いきなり家の玄関を飛び出し、「イー・エス・パー」と叫んで光速エスパーになって空に飛び出していく主人公にあこがれた。

普通の人間が強化服によって超人的な能力を獲得して宇宙人と戦うという設定に、少年の心をくすぐられた。ウルトラマンにはなれないが、強化服さえあれば、光速エスパーになれるかもって。そういう等身大のヒーローだった。

制作した宣弘社のホームページ(http://www.senkosha.net/sakuhinlist/kousokuesper)では「怪獣ブームのさなかにありながら、本作には、いかにも怪獣らしい怪獣は登場せず、地球に危機をもたらす怪現象や事件から人類を守るというのがエスパーの目的であり、戦いを主眼としていない珍しいヒーロー作品と言える。四次元から突然現れる怪物、原子炉で増殖するカビなど、SF的な発想と未来志向が随所に生かされた作品である」と紹介されている。

エスパーは見事に地球の危機を救う使命を全うするのだが、現実世界、この地球を殺そうとしているのははたして誰か。もちろんそれはやっぱり宇宙人などではなく、人類自身のようだ。

コロナ禍の中でさえ、覇権争いを繰り広げる大国や地球温暖化問題など存在しないとほざくトランプを見ると、まさにそう思う。