「世界はどんどん悪くなっている」
それが思い込みであることを、具体的なデータに基づいて解説した『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(発行:日経BP)は、いろんなインフルエンサーがお勧めしていたので、読んだ人も多いと思う。
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私もその一人。同書では、どんどん良くなっている証拠のデータを明示し、「事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる」として、データを基に世界を正しく見る習慣をつけようと提唱している。
一方で、「グローバルな危機が目の前にあることは、間違いない。世界のなにもかもがうまくいっていて問題はひとつもないと言っているわけではない」とも記しており、「わたしが一番心配している5つのリスク」として▽感染症の世界的な流行▽金融危機▽世界大戦▽地球温暖化▽極度の貧困―を挙げている。
同書はコロナ禍前に出た本だが、リスクの最初に感染症の世界的な流行を挙げているところは、予言書的なにおいもする。
感染症の専門家の間ではいまも新種のインフルエンザが最大の脅威だというのは共通の認識で、飛沫感染によって「あっという間に広がるインフルエンザのような感染症は、エボラやHIV・エイズのような病気よりもはるかに大きな脅威になる」との警告は、まさにコロナそのものを指しているようだ。
「終末」までは「秒単位」?
それはさておき、時代とともに世界は良くなっているよといわれても、個人的には“思い込み”がいまも消えない。
人間の欲望に依存する資本主義が膨張し、地球温暖化は止まらず、北極や南極の氷が大量に溶け出している。
異常気象が頻発し、夏には気温40度越えも珍しくなくなっている。
まだ決定したわけではないが、現代は、「人新世」(人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、完新世に続く想定上の地質時代)とも称されている。
米科学誌「原子力科学者会報(BAS)」によると、地球滅亡までの時間を示す「終末時計」は「残り100秒」で、1947年の開始以降、最も「終末」に近づいている。
やはり、地球滅亡のシナリオは確実に進行している。
科学技術の進歩と開発で、世界中どこへも行けるようになり、情報もネットで瞬時にアクセスできるようになった。グローバル化は確実に世界を近づけた。
しかし、それは地球がどんどん狭くなっているということでもある。
愛は地球を救う?
そういえば、オフコースに『地球は狭くなりました』という曲があった。
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こんなフレーズでしたね…
《ひとが空を飛び地球は狭くなる/そして気がついてみるとこころのなかも/せまくなりました》
この狭い地球を生かすも殺すも人類次第。
愛は地球を救えますか。