まほろば紀行~つれづれなるままにレトロに生きる

日々の雑感や昭和レトロ、素人の投資ことはじめを語ります

バガーの誘惑

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雲を抜ければ青天井!?

株をやり始めてしばらくすると、「テンバガー」という言葉を目にする機会が出てきた。老眼だから一瞬バーガーかと勘違いしたが、バガーとは野球の塁打のことで、一試合で10塁打(テンバガー)を記録するくらい株価が急騰し、10倍にまで跳ね上がった銘柄のことを指すという。

投資をやっている人は誰しも普通に使っているみたいだが、一体最初に誰が使って業界に定着したのだろう。素人おやじは、そっちのほうが気になる(テンバガーに一生縁もなさそうだし)。ファンダメンタル分析テクニカル分析を駆使して探せば、そういう銘柄の発掘も可能なのかもしれないが、素人はまずは5割高、あわよくばダブルバガーぐらいを狙っていこう。

と、そんなことを考えていたら、年初早々いきなりきた。1年前に株価469円で仕込んでいたセントケアHDであっさりダブルバガー達成となった。2021年度介護報酬のプラス改定が決まったこともプラスに働いたのかな。たしかに超高齢社会での医療・介護関連は成長分野。だから将来性も考えて買ったのだが、100株しかないから、持っておいて優待と配当をもらい続けるか、それとも利確して次のターゲットにいくか。

こづかいで投資しているポケット投資家は少し悩んだが、利確しないとNISAにした意味がないと株価1060円で売却。それを元手に買ったのがエディオンである。

エディオン株主優待を3000円のギフトカードに変更し、使い勝手がよくなったことから、優待生活で有名な桐谷さんも『日経マネー』1月号でお宝銘柄として推奨していた。

同社のような郊外型主体の家電量販店は、コロナ下でも買い換えや巣ごもり需要に支えられて業績は堅調に推移している。また、業界トップのヤマダ電機同様、家電に次ぐ柱としてリフォーム・住宅関連事業にも力を入れるなど、家電だけに依存しない中長期戦略にも好感が持てる。

基本100株保有者の私は、とりあえず3月の配当と優待をもらって、小さな幸せを感じたいと思う。

そして、さあ次はトリプルバガーを狙おうなんて分不相応なことは考えず、これからもなんとか5割高、あわよくばダブルバガーの姿勢でいこうと思う。なんせ資金力のない素人。安いところで買って成長を待って気長にホールドする。

長期的にはそういう姿勢が一番よさそうだと感じている。

「志望理由書」

自分の子どもが大学入試を迎えたことでいまさらながら知ったのだが、最近の大学入試では推薦入試やAO入試(今は総合型選抜というらしい)のウェートがかなり高いのだという。

一部の例外を除き、昔は基本的に学力試験で選抜を行う一般入試しかなかったと思うが、学業成績と面接・小論文で合格できるなんて、昭和おやじからすると、ちょっとずるいなと思ってしまう。

1990年代ころまでは一般入試による大学入学が主流だったが、AO入試と推薦入試による入学者数は年々増加している。文部科学省の「平成31年国公立私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると推薦入試による入学者が全体の36.8%を占めるようになっている。

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文部科学省:国公立私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要

小論文には志望理由書などがあって、志望理由や自分の適性を書く必要がある。もちろんこれにもテクニックが必要で、高校3年間部活に打ち込みましたなどとアピールできる人はいいが、これというものがない学生は数少ない経験や活動の風呂敷を広げ(現代なら「話を盛って」というべきか)、最大限自己アピールに努めることになる。

娘の学校の資料には「過去の自分、今の自分、未来の自分、この3つの自分について振り返り、自分が志望する大学と100%合致する!とアピールすることです」などと書かれている。

まず自己分析できていることが前提のようだが、これが難しい。娘によると志望理由書、みんな目いっぱい話を盛って書いたという。もちろん、先生がチェックして出しているから、最終的な内容は問題ないだろう。

それでいいのかなとも思うが、競争や一発勝負をできるだけ避けるような時代になったのは確かだろう。

ちなみにわが娘は指定校推薦ですでに合格し、4月から大学である国家資格の取得を目指すことになった。

人の道は平坦な一本道ではないが、誰にも「ここなら活躍できる」という場所があるはずだ。

そこで輝こう!

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青春の蹉跌は避けたい



株の入門書

株の入門書には何がいいのだろうか。もちろんその人のレベルにもよるが、本屋やネットで探してもいろんな本があるので、どれがいいのか本当に迷う。でも関心を持つと自然と出会いがあるもので、私の場合は古本屋で『投資デビュー』(大石泉著・平凡社新書)という本を見つけた。2014年刊なのでちょっと内容が古い部分もあるが、基礎的な知識が整理されていて、ずぶの素人が一歩踏み出すにはちょうどよい入門書だった。

お金をふやす方法は「収入を増やす」「支出を減らして貯める」「お金を働かせる」―の3つしかない。そしてお金を働かせる=資産運用・投資には、「自分を知る」(ライフプランニングなど)、「相手を知る」(金融機関・金融商品など)、「世間を知る」(経済や市場の動向など)ことが重要だとわかりやすく説いている。

私も固定費など生活を見直すところから始め、とりあえず口座を開設し優待狙い中心にいくつか株を買って一年以上が経過したが、あらためて感じるのは「世間を知る」ことの大切さだ(当たり前だけど)。

そのことを感じたのは最近『コロナショック後の株と世界経済の教科書』(丹羽由一監修・枻出版社)を読んだから。「コロナで激変した世界経済と株投資のためのもっとも初歩的な解説本」とある通り、初心者は持っていて損はない本だ。コロナの猛威にさらされた世界経済はこれからどうなるのか。さまざまな経済指標などを示して、株価を動かす「市場のお金」「世界のお金」「金融政策」「世界情勢」についてグローバルな視点で概説している。

株価というものが、世界のさまざまな動きや思惑で動くものだということをいまさらながら痛感した。株価指数も「株価・平均型・指数」と「時価総額・加重平均型・指数」があり、普段ニュースでよく聞くダウ平均や日経平均は前者であることをあらためて知ったのだから、お恥ずかしい限りだ。

ちなみに、投資に役立つ世界的名著はすでに諸先輩方がいろいろ紹介しているので、それを参考に、それぞれが自分なりのバイブルを見つけたらいいのではないだろうか。私が次に読もうと思っているのは『ウォール街のランダム・ウォーカー』だ。

そうした学びをこつこつ続けながら、投資は自己責任であることを肝に銘じたうえで、自分なりの落としどころを考えて、これから資産運用で人生をよりよいものにしていきたい。冒頭に紹介した本も、最後に老子の「足るを知る」の教えを示し、「お金はふやすことが最終目的ではありません。お金は自分や家族の豊かな暮らしのため、夢や希望を叶えるためのもの。必要なだけあればいいのです」と説いている。

その精神で、いつか「足るを知るものは富めり」の境地に至りたいと思う。

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「読み」や「勘」に頼るのはただの投機

 

社会学を身近に―『文芸の社会学』(加藤秀俊著)

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成人式も世相を反映

20代のある時期、加藤秀俊氏の本をわりと集中的に読んだ時期があった。氏は社会学の権威だが、令和の若い人はこの方の著作に触れる機会は少ないのではないかと思い、「この一冊」に紹介することにした。氏には一般向けの著作も多く、社会学を身近にしてくれた先駆的な学者だ。

今回あえてこの本を選んだことに特別の意味はない。どの著作を読んでもためになるし、普段の生活から社会学的視点で考えることの重要性を教えてくれる。

同書は、文学を通して社会学的な展開を試みた大学での講義をおこしたもの。筒井康隆松本清張司馬遼太郎など、昭和を代表する作家の作品を取り上げ、日本社会の家族、組織、階級、職業、自我などのテーマについて考察している。

氏は「文学作品というのは、それを生んだ社会をうつしだす鏡である」という考えに基づいて、現代の日本社会をとらえようとする。私の手元にあるのは1979年のPHP研究所刊の第1刷で40年ほど前の本だが、いまも日本社会は同書に書かれているように同調主義的だ。「俺ひとりでこういう仕事をじぶんで発見して、じぶんで運営してみようという個人主義者は、残念なことにきわめて少ない」という氏の指摘はいまも変わっていない。

氏の本を手に取れば、いまも新しい発見がきっとあるはずだ。私は同書で指摘されている小松左京の一連の著作が気になったので、読んでみたいと思っている。小松左京が『日本アパッチ族』から『日本沈没』に至る著作で一貫して問うているのは「日本という国家、あるいは国土とは何か、という深遠な問題」だという。

その作品は東日本大震災で『日本沈没』、コロナ禍では『復活の日』が、その予言的な内容とも相まって再び注目を集めている。

加藤秀俊氏の著作には、そういう知的展開を広げてくれるカギやヒントも詰まっている。

優待は「おまけ」

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やっぱりもらうとうれしい優待

まずは株主優待狙いから株を始めたが、コロナ禍の中で優待を廃止する企業が相次いだことで、業績が悪くなれば企業はいとも簡単に優待を廃止することを思い知らされた。プロが言うように優待はあくまで「おまけ」であると肝に銘じた次第である。

コロナ禍の前には、QUOカードの優待があった河西工業やラサ商事とかを購入候補に挙げていたから、ほんと買わなくてよかった(まあ資金もなかったのだけれど)。

とはいえ、ポケット投資家にとって優待の楽しみから株を始めるのはごくありふれた入り方だし、いきなりキャピタルゲイン狙いで集中投資して失敗したら目も当てられない。

小心者の私は、2年目も数万円で買える小型株の優待銘柄をこつこつ増やす一方で、今後上がりそうな銘柄を未単元で買って、5割高超を狙って資金を増やす計画だ。

インデックス投資も少額で始めているが、これはキャッシュフロー的には出ていく一方なので、正直楽しみがあまりない。確かにこつこつと増えているのを見るのは楽しいが、「基本、何十年もほったらかして放置すべし」「数年で売るのは邪道」なんて先輩諸氏の言葉を聞くと、初心者はどうすべきか正直悩む。死んだときに最大化という怖い話が本当になったら最悪だ。やはりこれはケースバイケース、「愚直に積み立てを」といってもそこは程度問題、出遅れおっさんは早めに出口戦略を考えておこうと思う。

まあとりあえず、今年はヤマダ電機オリックスなど定番銘柄から優待をもらいつつ、まずは少額でも毎月配当金をもらえる生活を目指したい。出遅れポケット投資家なりのやり方で。

休刊ラッシュ

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止まらない雑誌不況

『アサヒカメラ』の休刊を知ったとき、なんとなくそう思っていたのだが、コロナ禍も重なって昨年は雑誌の休刊が一層進んだ。

身近なところでは、購読していた『毎日ウィークリー』が12月26日号を最後に休刊してしまったのが、ちょっと悲しかった。

例を挙げると、専門誌では『ミセス』が4月に休刊、『カメラマン』も5月に休刊、老舗の流通業界誌『商業界』に至っては、破産して発行停止に。検索してみると、新聞も地方紙で夕刊の休刊が相次いでいるようだ。『高知新聞』は昨年末で夕刊を廃止。購読の伸び悩みに加え、どこも収益の大きな柱である広告売り上げの低下が響いたのだろう。

参考までに、経済産業省の統計「特定サービス産業動態統計調査」結果(https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-1.html)をみると、2020年7~9月の広告業の売上高合計は前年同期比で約20%減。新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4媒体すべてで減少しているが、とくに雑誌の落ち込みが前年同期比約46%減と著しい。

ネット社会となり、紙媒体の存在意義の低下が叫ばれて久しい。私も毎日、薄っぺらい夕刊を見るたび、「こんなニュース、もうネットに出てるし、夕刊なんかいらんのちゃうか」と思うのだが、それでも新聞はやはり紙で読みたいし、気に入った特集や記事がある雑誌は取っておきたいと思うのは、昭和世代だからか。

そういえば、モーニングスターの『株式新聞』も紙媒体を休刊し、デジタルに完全移行するという。同社の株主優待で半年だけ読んだが、体裁が古くさくてちょっとびっくりした。1949年創刊の証券専門紙だから伝統はあるが、若い人はこういう紙媒体はもう読まないんじゃないかなと確かに思った。

とはいえ、ネットの信頼できる情報なんてごくわずか。だからこそメディアリテラシーを高める一方で、信頼できるメディアには、デジタル、アナログの区別なく、きちんとお金を払って購読したいとも思う。メディアは、そう思わせる雑誌や新聞を作り続ける努力をするしかない。

休刊は事実上の廃刊だが、超高齢社会なら、復刊を待ち望むファンは決して少なくないはずだ。

公営競技が「好調」?

 コロナ禍でも公営競技の売り上けは好調らしい。今年はいろんなスポーツイベントが中止になって、プロ野球なども売り上げが落ちているというのに。

公営競技とは「公的機関が賭博(ギャンブル)として開催するプロフェッショナルスポーツの総称である」。要はギャンブルってこと。

節度を守ってこづかい程度で楽しむのなら楽しいプロスポーツかもしれないが、自粛期間が長いコロナ禍の今年、無観客でも好調ってことは、結構、依存症になってしまっている人が増えているのではないか。

でも、ギャンブル依存症がマスコミに取り上げられることはあまりない。芸能人の薬物中毒やアルコール依存症が話題になることは多いというのに。

娯楽を提供して何が悪いという意見もあるだろうが、公営競技は競馬が農林水産省、ボートレースが国土交通省、競輪とオートレース経済産業省の管轄。ということは、省庁が規制して利益を吸い上げる一方で、国民を依存症にしているとも言えるんじゃないの。

しかも場外売り場に行かなくても、びっくりするほど簡単にインターネットで投票できる。まさに巣ごもりの日常にぴったりだ。昭和の時代には考えられなかった。

否定的なのは、依存症にはまって借金し債務整理中の人を身近に知っているからなので、そこはご容赦願いたいが、そもそもショバ代がバカ高すぎるのではないか。プロならともなく素人の大半はぼったくられる。まず勝てないのではと思ってしまう。


過去の全国調査では、ギャンブル依存症が疑われる人は成人の4.8%というデータもある。2018(平成30)年10月にはギャンブル等依存症対策基本法が施行され対策が強化されているとはいえ、コロナ禍が大量の依存症を生み出していないか心配だ。


ギャンブルだけでなく、ネット、ゲーム、アルコールといろんな依存症があり、誰もが日々誘惑にさらされている。

とはいえ、せめて年末年始ぐらい心穏やかに過ごしたい。

来年はいい年でありますように。

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辛丑(かのと・うし)はどんな年?